少量の飲酒でもガンのリスクが上昇

東京大学公衆衛生学の研究グループが少量の飲酒であってもガンのリスクが上昇することを全国の労災の入院患者のデータベースから導きました1)。
それによると、もっともガンに罹患する割合が低かったグループが飲酒をしないグループでそれ以降は飲酒する量に比例してリスクがあがるようです。
もともと少量のアルコールの摂取は循環器系の病気(心疾患・脳血管)に対してJカーブ(摂取がゼロよりも少量の摂取のほうがリスクは低くなる)になることは報告されていますが、ガンに対しては意味がないようです。もちろん心・脳疾患系の予防目的でアルコールを摂取することは推奨されない(食生活や運動等で改善すべき)ので、タバコと同様に控えるべきといえるでしょう。
ただ科学的には以上の結果ですが、飲酒が生活習慣や精神的なストレスに対する緩和にどれだけ関与しているかは未知数ですので、飲酒がガンリスクを上昇させることを認知しつつ上手に付き合っていくことをお勧めします。

1) Zaitsu,M. et.al. Light to moderate amount of lifetime alcohol consumption and risk of cancer in Japan. Cancer 2019.